触れるもの、絶対に触れないもの        @ 日本橋浜町 好文画廊 2024年 6月

触れるもの、絶対に触れないもの

【立体】麻布、鉄、アルミ、鉛、杉材、他

      ■脱出行

【平面】不透明水彩、他  【箱庭】Mixed Media

展 覧 会

「触れるもの、絶対に触れないもの」は清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2023『リアルのゆくえ』参加作品です。
以下は応募にあたって書いた文章からの抜粋です。

 『「リアル」とはそれを失った、又は失いかけた時に初めて生まれた観念ではないか。だとすればリアルについて考えることはリアルの喪失について考えることでもある。
 十代の頃から、自分を取り巻く環境のリアリティがひどく希薄になってしまい苦痛を覚える様になった。私の制作は現実感を失い無感動に陥った世界に生気を呼び戻すことを一つの目的としている。
 その方法は@実感として捕らえ辛い、今を生きているとはどういう状態かA死は何かBリアリティを失うような事態に陥る人間の、他の動物とは異なる特殊とは何か、という問いに纏わる雑多なイメージを集めて物化し、部屋や箱などの境界の中に配置しながら、問いをナラティブの内側に取込んでゆく一種の箱庭療法である。
 配置に使う模型素材として重要なアイテムが猿である。猿は自分と分離してしまった生きている部分のメタファであり、私自身のアバターでもある。今回は生きる猿とそれを距離をもって見つめる猿を箱の内に置くことにする。そして社会と時間を持ち虚構のシステムに強い現実性を見出す人間についてのモデルと共に展示したい。』